<校長室より>卒業証書授与式 式辞

2021年3月17日 14時15分

 厳しい冬を乗り越え、校庭の木々にも春の訪れを告げる気配が漂ってきました。

 今日のよき日に、今治市玉川支所長様をはじめ、PTA役員や保護者の皆様にご臨席を賜り、このように厳粛に、令和二年度第六十四回卒業証書授与式を挙行できますことに対し、厚く御礼申しあげます。

 

 まずは、本日めでたく卒業の日を迎えた、二十二名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。先ほどの卒業証書授与の時、担任の大澤圭吾先生が皆さんの名前をしっかりと呼んでくれました。圭吾先生にとっては皆さんが最後の卒業生です。皆さんはそれに精一杯の返事で答えてくれました。

 

 皆さんは、ご家族の温かい励ましや地域の皆様に支えられながら、九年間の義務教育を無事終了しました。多くの思い出と、夢や希望を胸に本校を巣立っていきますが、励まし支えていただいた、多くの皆様への感謝の気持ちを忘れないでください。また、苦しい時も楽しい時も、共に励まし合った仲間は、一生の宝物です。十年先、二十年先も、良き仲間として互いに支え合ってほしいと願っています。

 

 さて、昨年度末から今年度は新型コロナウィルスの影響でたくさんの行事や活動が中止になったり縮小されたりしました。そのような中でしたが、私は皆さんからたくさんの笑顔や感動をもらいました。多くの大会やコンクールが中止になり、目標を失いながらも、最後まで練習に汗を流し、頑張った部活動。午前中だけの半日開催となりましたが、団長を中心に朱雀と青龍の二つのグループで一致団結をし、競い合った運動会。特に印象に残っているのは、文化祭での有志発表。皆さんがこんなにも芸達者だったとは驚きました。もちろん合唱コンクールもクラスが心を一つにして歌い、最高のハーモニーでした。

 コロナ渦の中、明るく楽しく頑張った皆さんに「人間万事塞翁が馬」ということわざを紹介します。

 

 むかし、塞(とりで)のそばに住んでいるおじいさん、いわゆる塞翁さんが飼っている馬が逃げ出してしまいました。近所の人が気の毒に思っていましたが、塞翁さんは「このことが幸運を呼び込むかもしれない」と言いました。

 しばらく後に、逃げ出した馬が、別の立派な馬を連れて戻ってきました。近所の人が感心していると、塞翁さんは「このことが禍(わざわい)になるかもしれない」と言いました。

 すると、塞翁さんの息子がこの馬から落ちて足を骨折してしまいました。近所の人がお見舞いに行くと「このことが幸いになるかもしれない」と、塞翁さんは言いました。

 やがて、戦争が起き、多くの若者が戦争にかり出されて命を落とすことになりましたが、塞翁さんの息子は足を怪我していて戦争に行けなかったため無事でした。

 

 という中国の古い話がもとになってできたことわざが「人間万事塞翁が馬」です。「世の中のことはすべて何が幸いして何が災いするか分からないものです。何かあった時に、村人の様に一喜一憂するのではなくて、塞翁さんの様にどっしり構えよう。」ということです。

 皆さんのこれからの人生、いろんなことがあると思います。皆さんそれぞれに「塞翁が馬」があると思います。いいことばかりではなくて、一見大変なこともきっと起こると思います。その時は是非、この「塞翁が馬」ということわざを思い出し、「いや、これはチャンスかもしれない」と、そんな風に考えてもらいたいと思います。逆に、いいことが起こった時は油断せずに自分自身を戒めるようにしましょう。

 

 終わりになりましたが、保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。9か年の義務教育を終え、それぞれの道に向かって歩んでいこうとしているお子様の姿に、感慨もひとしおのことと拝察いたします。皆様にとってかけがえのないお子様を3年間お預かりし、十分に行き届かないこともあったと思いますが、私たち教職員一同、誠心誠意努力して参りました。3年間、PTA活動はもとより、各種学校行事など本校の教育活動に深いご理解と温かいご協力を賜りましたことに対しまして、心より感謝申し上げます。今のような状況がいつまで続くか分かりませんが、この状況を乗り越えた子どもたちが、未来に向かって明るくたくましく成長することを願いまして、式辞といたします。