<校長室より>卒業証書授与式 式辞

2022年3月17日 14時26分

 楢原山からやわらかな風が吹いて、やさしい光が大地に降り注ぎ、至るところで春の息吹を感じます。

 本日、令和3年度今治市立玉川中学校第65回卒業証書授与式を挙行するにあたり、今治市教育委員会教育委員様、PTA会長様、並びに保護者の皆様のご臨席賜り、このように厳粛に行えますことを厚くお礼申し上げます。

 

 まずは、本日めでたく卒業の日を迎えた29名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。今、一人一人に卒業証書をお渡ししました。証書を受け取る皆さんの目の輝きに、これからの無限の可能性を感じるとともに、心優しく、たくましく成長したその姿に、この上ない喜びを感じています。この卒業証書は、小・中学校あわせて九ヵ年の義務教育を修了した証であるとともに、これから先、自分の言動に責任をもって行動する覚悟をもつ証でもあります。

 卒業という節目を迎えた皆さんの脳裏には、楽しかった修学旅行や、共に汗を流した部活動、クラスの仲間と力を合わせた学校行事のことなど、たくさんの思い出が、よみがえっていることと思います。1年生の3月から、コロナ禍でたくさんの行事や活動が中止となったり縮小されたりしましたが、私は皆さんからたくさんの笑顔や感動をもらいました。特に、団長を中心に朱雀と青龍の二つのグループで一致団結をし、競い合った運動会。君たちと一緒に踊ったダンスは私にとっても、素敵な思い出となりました。そして文化祭では、そのダンスにサイリウムを加え、とても感動的なステージとなりました。もちろん合唱コンクールや有志発表も素晴らしく、最高のステージでした。苦しいときも楽しいときも共に励まし喜び合った29名の仲間は、一生の宝です。卒業後も、良き仲間として互いに支え合ってほしいと願っています。

 

 コロナ禍の中、明るく楽しく頑張った皆さんに「日日是好日(にちにちこれこうにち)」という禅語を紹介します。

 この言葉は一般的には「ひびこれこうじつ」とも読み、掛け軸や歌や映画にもなっている、有名な言葉です。直訳すれば、「毎日がよい日だ」ということです。しかし毎日がよい日だなんて、そんな嬉しい人生を送る人なんてほとんどいません。生きていれば、うまくいかない日、喧嘩をする日、失敗して反省する日、ひたすら後悔する日、涙を流す日だってあります。そうした決して「よい日」とは呼べないような日もあるのが人生です。しかし、一般的に私達が今日はよい日だ悪い日だという場合、天気だけでなく、よいことがあった・悪いことがあった、得をした・損をした、など、そんなものさしで判断します。しかしこれは優劣や損得にとらわれた考え方です。それではたとえ、ある日幸運が訪れても、その後に来る不運に脅えなければなりません。どんな状況でも、それはあなたの人生に必ず意味のあるものです。だからどんな状況でも逃げることなく積極的にその状況を生きてください。その一瞬一瞬を精一杯生きていく毎日の積み重ね。その積み重ねがあなたの毎日を「好日」にしてくれるのです。

 自分のことで恐縮ですが、私のモットーは笑顔です。しかし、いつも楽しい日ばかりではありません。苦しい時も「日日是好日」と思い、笑顔でいるようにしています。困難な状況に直面した際は、あえて鏡の前に向かい、自分にニッコリと微笑んでいます。脳科学の専門家によれば、鏡の中で笑っている自分を見ることで、脳の活性化や免疫力が向上するなどの効果が期待できるそうです。たとえ面白いことがなくても、鏡の前でニッコリすることで、脳は「楽しいんだ」と処理してくれるそうです。逆に表情が硬いままだと気持ちも消極的になってしまいます。思い通りにいかないことが起きても、くじけず前に進む心を持てるよう、笑顔による効果をフルに活用してください。いや、そんなことを私が言わなくても、今までの君たちは、十分できていたと思います。これからも、その笑顔を絶やさないで、「日々是好日」と思い、毎日を過ごしてほしいと思います。

 

 続きまして、保護者の皆様、本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。九か年の義務教育を終え、それぞれの道に向かって歩んでいこうとしているお子様の姿に、感慨もひとしおのことと拝察いたします。皆様にとってかけがえのないお子様を三年間お預かりし、十分に行き届かないこともあったと思いますが、私たち教職員一同、誠心誠意努力して参りました。3年間、PTA活動はもとより、各種学校行事など本校の教育活動に深いご理解と温かいご協力を賜り、いつも学校の味方でいてくれたことに対しまして、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 終わりになりましたが、ご来賓の皆様におかれましては、本日の栄えある卒業式に、公私ともご多用の中、ご参加いただき、深く感謝申し上げます。中学校を卒業しても、29名の卒業生は玉川の子どもたちです。今後とも、引き続き、子どもたちへのご指導と本校へのご支援、ご協力をお願い申しあげます。

 それでは、今のコロナ禍が落ち着き、この状況を乗り越えた子どもたちが、未来に向かって明るくたくましく成長することを願いまして、式辞といたします。